物語


その世界には、いつの頃からか伝えられている伝承があった。

森の頭上に輝く黄金の月が消えるとき、世界は滅ぶと。

滅びを回避するたった一つの方法は、『供物』を選び、『聖域』に捧げること。
再生の儀式が成功すれば、月はまた元の輝きを見せるだろう。


疑うことなく信じられ、続けられてきた一つの歴史。

幾たびも同じように繰り返されてきた、一つの過程。


そして、今夜もまた月が消え、供物が選ばれる。
真っ黒な髪に、真っ黒な瞳をした一人の少女は、森の中で、自分を迎えに来る誰かを待っていた。


自分を聖域から迎えに来る、三本の柱の一つを。


『Nights of the Knife』




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『陸路の果て』